木の家(木造住宅)の機能・特徴




 

 

木造住宅とは

木造住宅とは、主要構造部に木を使った住宅のことです。
     木造住宅の工法は大きく分けて3つの工法があります。

     @木造軸組工法工法
       
日本の伝統的な建築方法のことです。 お近くの神社やお寺などが良い参考例です。
        一般的に在来工法と呼ばれるますが歴史は古く、 奈良・平安時代までさかのぼります。
        柱や梁などを箱のような立方体空間とした1つの「架構ブ ロック」として、
        これを縦横に連結することで建物全体を構成します。このため、間取りや窓の大きさな
        どを自由に設定できるのがこの工法の大きなメリットになり ます。
        他の工法よりも開口部にゆとりを持たせることが出来るため、開 放的な空間を造り込む
        ことが可能になります。
        しかしながら、その一方で、施主様のご要望に沿う余り必要な個所に柱や梁を作らず構
        造的に弱い(バランスの悪い)家も見受けられます。
        ですので、自由度が多い分つくり手の熟練度が住 宅の品質を大きく左右するのも木造軸
        組工法の特徴です。

     Aツーバイフォー(2×4)工法
       
主にアメリカやカナダなどで発展した 工法で輸入された工法のこと。構造用製材でつ
        くった 枠組みに構造用合板を張り付けた「パネル」で床・壁・屋根を構成し6面体で
        建物を支えます。
        厚さが「2インチ×4インチ」の細長い断面を 持った柱を主に使用することから、
        日本ではツーバイフォー(2×4)の通称で呼ばれています。
        メリットとして第1に挙げられるのは、施工が職人の熟練 度に左右されないことです。
        熟練度が必要ないので一定品質の住宅を建てられます。
        しかしながら、構造的な規制(耐力壁の量 や構造が法律で規制)により木造軸組工法の
        ように自由な間取りにはできないというデメリットが あります。

     B木質系プレハブ工法
       
大量生産により生まれた工業化された 工法のこと。木材と合板を使い工場で一括生産さ
        れたパネルを現場で接着して組み立てる工法です

木の特徴・特性

構造材として使われる木の特性
     木材は樹木の特性に応じて適材適所で昔から樹木それぞれの特性を活かし家作りに
     使われてきました。
    ・柱⇒ヒノキやスギ(強くて真っ直ぐ)
    ・土台⇒ヒノキやヒバ(湿気に強い)


調湿作用
    
木は呼吸をしています。室内の空気が乾燥してくると、木は蓄えていた水分を空気中に
     放出します。逆に梅雨のような湿気の多い時期には、空気中の水分を吸収します。
     つまり、人間が快適に暮らせるよう室内の湿度をコントロールするのです。
     自然のエアコンの役割を果たしてくれるわけです。

断熱性能
     木は鉄やコンクリートの熱伝導率と比較すればいかに木が断熱性に優れているかが
     わかります。木の熱伝導率は、コンクリートの約15分の1から20分の1
     鉄では何と300分の1を下回ります。熱を伝えにくいということは、それだけ断熱性が
     高いことを意味します。鉄筋コンクリート造に比べて木造の家が冬暖かく、夏涼しくすご
     し易いのは、木の持つ優れた「断熱性」によるものなのです。

木は圧縮力に強い
     圧縮力に対する木の強さはコンクリートの約5〜6倍近くにもなります。
     また、引っ張り強度は鉄の4倍にも及びます。
     一辺10センチの節のないサイコロ型の木を生えていた時と同じ方向へ置いた場合(木は
     方向により強さが異なります)破壊するには約40トンの力が必要なのです。
     ちなみに熟練した大工は木材を一瞬見ただけで、伐採前の木の状態を把握できます。

木は地震に強い
     一般に木造住宅は鉄筋コンクリート造りの家より地震に弱いというイメージがあります。
     であるならば有形文化遺産や国宝と呼ばれる大昔に建立された建物は地震に弱いのでしょ
     うか?重さあたりの比強度において優れる木材でつくられた木造住宅は、その重量が鉄筋
     コンクリート造の家よりもずっと軽くなります。地震エネルギーは建物の重さに比例して
     重い建物ほど大きなエネルギーがかかります。その為、軽い木造の方が地震力にはうまく
     抵抗する事ができるのです 。 地震力や台風時の風圧力に対し、しっかり計算され、さらに
     長持ちするための工夫がなされた木造住宅なら、大きな地震がきても簡単に壊れる事はあ
     りません。昔の大工さんは強度計算方法は知らないハズですが、伝統と経験に裏打ちされ
     た匠の技術力で今もなお現代に素晴らしい国宝を残してくれています。

木は生まれ変わる
     木は人の一生よりも遥かに長く生き続けることが出来ます。屋久杉なんて1000年以上
     です。自然が生んだ強い生命力です。また、伐採された後も樹木として生きてきた年月と
     同じだけ生き続けると言われています。
     製造された時から劣化が始まる無機質の鉄やコンクリート。
     それらに対して、木は伐採された後でも強度が維持されます。
     むしろヒノキなどでは、切られてから200年から300年の間は曲げや引っ張り強度な
     どが少しずつ増大、その後1000年かけて元の強度に戻ることが法隆寺の柱から確かめ
     られています。

気持ちが落ち着く心地よい音響効果
    
クラシックコンサートや管弦楽を鑑賞しに出かけ た事はありませんか?

     音楽ホールの多くが、内装に木を使っていることをご覧になった事があると思います。
     これは、木には全ての音域をバランスよくきれいに響かせるという特性があるからです。
     その上、表面の凹凸が音を複雑に反射させることで音に丸みと深みを与える音響効果が
     あると言われています。
     バイオリンやクラシックギターなどの楽器のボディも木を使用していますね。

森林浴効果
     森の中を散歩した時、時を忘れ心地良くなったことはありませんか?
     山や森林に入ると独特の森のにおいが漂います。 このにおいの正体が「フィトンチッド」
     と言う、樹木から発散されている成分です。 人がこのフィトンチッドのにおいをかぐと、
     心が落ち着き、リラックス状態になると言われています。
     特にマツ・ヒノキなどの針葉樹林ではフィトンチッドの発散量が多く、免疫力の向上(ガ
     ン細胞を防ぐNK(ナチュラルキラー)細胞が増える )などに寄与するという研究報告もあり
     ます。なお、フィトンチッドには自然の抗菌作用や脱臭作用があることも知られていま
     す。また木に含まれる「αピネン」という成分には脳や身体をリラックスさせ内臓を活発
     にし、手足が温まってきて、しかも殺菌力まであると言われています。
     木造住宅に住めば、家で森林浴効果を味わうことが出来ますね。

癒し効果
     木が 持つ木目には人間に癒し効果を与えます。
     自然界には、人間の生体リズム(呼吸や心拍など)と同様の独特のリズムがあります。
     それは「1/fゆらぎ」と呼ばれるリズムです。
     何と、木漏れ日や木の年輪の間隔にも、この「1/fゆらぎ」があると言われています。
     このゆらぎが、私たちの心に安らぎを与えてくれるわけです。
     無機質の物(鉄やコンクリート)を触って温もりを感じる人はいないと思います。
     木の癒しは「肌触りの良さと心地よい温もり感」も要因のひとつのようです。
     木は人間にとって「癒し系」なんです。
     旅行したときに、ホテルと旅館、どちらが落ち着きますか?

木の種類と特徴
    
自然素材である木は種類ご とそれぞれ異なった性質を持っています。それぞれの特徴を
     生かし適材適所で使うことが必要です。代表的な樹種を以下に示します。

杉(すぎ)

         木目がまっすぐ通ってい て、柔らかく加工しやすいのが特徴。
         用途も幅広く柱や貫などの構造材、天井、壁、床などの内装材、また、障子や襖などの
         建具材としても使われます。

檜(ひ のき)

         柱や土台に使われます。また、建具にも良く使用されます。
         水湿に強く、加工性がよく、香気光沢有、仕上がりも良、耐久性が高い。
         昔から贅沢な家の代名詞に使われています。

檜葉(ひば)(アスナロ)

         家具、指物、戸外の木材、土台や木製の浴槽などにも使わ れます。
         腐りにくく、最も耐水性のある木材と言われています。優れた耐水性と耐朽性で
         腐朽菌に強く、白蟻などの害虫も寄せつけません。

松(まつ)
         松はヤニが多く、ねじれやすいのが特徴です。
        
内 装用の床材として、梁などの横物使いの材、合板用材、パルプ材として
         使われます。

欅(けやき)
         強度があり耐朽性に優れている。重くて堅いが、弾力性があり、曲げに強い。
         日本の広葉樹の中でも優良材の一つといわれています。
         木目が明瞭で美しいので、家具などにも使われます。 

栂(つが)
         杉の代用として桁などの横物や、防腐処理をして 土台などにも用いられます。
         辺材部が白く、塗装仕上がりもきれいなことから、造作材として使用されることも
         多いようです。

桜(さくら)
         良く乾燥させれば安定性が良く、強度も強く、加工後の仕上がりが美しい。
         床材や壁材、家具やキャビネットとして使用されています。

桐(きり)
         軽量で柔らかく、加工がしやすい。狂いや割れも少なく、吸湿性に優れている
         ことから、
         衣類の保管に最適で箪笥などに使用されています。

木材の耐久性、耐腐朽性
 

分 類


樹  種

水 湿 に 耐 え る も の

ヒノ キ、ヒバ、カヤ、コウヤマキ、ツガ、カラマツ、クロマツ、クリ、シオジ

乾湿の 変化に耐えるもの

ヒノ キ、ヒバ、カヤ、クリ、ナラ、サクラ

菌類に 侵されやすいもの

ブ ナ、カバ、マツ、ナラ

シロア リに侵されやすいもの

マツ 類、スギ、モミ、トウビ

シロア リに侵されにくいもの

チー ク、クス、ケヤキ、カシ、ヒバ



 

 



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